ライト3ベットについて考察する
ライト3ベットについて自分の出来る範囲で考察したいと思います。
シチュエーションは100bb持ちのアンティ無しのノーリミットホールデム。
BUのプレーヤーのオープンに対するA💛5💛でのSBからの3betに限定して、考えてみます。
BUの標準的なプレーヤーをレンジを以下のレンジで想定します。
57sもA4oもいれています。
もちろん、A💛と5💛が含まれるハンドは除外しています。
上位30.7%のハンド。407コンボです。
それに対して、BUのプレーヤーが4bet又はコールするレンジを以下のレンジで設定します。
上位9.8%のレンジ。66+、ATo+ 130コンボです。
もっとディフェンスしていいのかもしれないですけど、一般的な想定レンジとしてこちらで設定します。
BUのオープンレンジ407コンボのうち、277のコンボをおろせることとなります。
BUのオープンレンジのうち68%をおろせることになります。つまり、このレンジの相手に対しては、68%の頻度でおろせることになります。
ではまず、BUのプレーヤーがフォールドする時の期待値を計算します。
BUの3BBのオープンに対して、10BBの3betをするとします。
1bb+0.5bb+3bb=4.5bbのポットを、9.5bbを使って取りに行くわけです。
なので、フォールドエクイティは、ポット4.5bb×発生頻度68%=3.06bbの期待値です。
では、次に相手から4betされた時の期待値を計算してみます。
相手から4betされるレンジは、以下のレンジ。
AK+、QQ+の24コンボで設定します。
BUのオープンするレンジ 407コンボのうち24コンボなので、6%。
3ベットしたら、6%の頻度で4ベットされます。
4ベットされたら、A💛5💛というハンドでアウトオブポジションでコールするというのは 現実的でないので、フォールドする事とします。
とすると、4ベットされた時の期待値は、4.5bbのポットを9.5bbをつかって取りに行って、 取れなかったわけですから、-9.5bb×発生頻度6%=-0.57bbの期待値となります。
それでは、このライト3ベットを+EVなアクションとする為には、 こちらのライト3ベットにコールされてしまった時にポストフロップでどれだけのEVを稼げばいいのでしょうか。
(Xbb-9.5bb)×発生頻度26%+3.06bb-0.57bb≧0
X=-0.07bb です。
この数字から分かるようにこれだけ相手のフォールドレンジが広いのであれば、こちらのライト3ベットにコールされた時 「コールされたらもうだめだあ、もうあきらめよ」でもOKなんです。OKではないですが、取り合えず+EVではあるわけです。
ただ、本来エクスプロイトされないように相手はディフェンスのレンジをもっと広げてくるでしょうし ライト4ベットのレンジも広げてくるので、フォールドエクイティはもっと低くなって、 ポストフロップでA💛5💛というハンドを使って+EVにしていくことが求められてきます。
実際にポストフロップの期待値も考えてみます。続けます。
SBからA💛5💛で3ベットをうって、仮にBUのプレーヤーにコールされてしまった場合、 ポストフロップでの期待値はどのようになるのでしょうか。
フロップで開かれる3枚のカードは、19,600通りあります。(₅₀C₃)
19,600通りあるフロップそれぞれで、最適と思われるアクションを行い、それぞれで
期待値を計算して、それぞれを合算し、平均値を出せばポストフロップのざっくりした
期待値を算出する事は可能です。
続けます。
もしも、フロップがガットショットだったら。。。
(ケース1) フロップが、
の場合
ガットショットがついていて、CBをうって仮にコールされても相手のレンジに対して、
それなりのエクイティを保持しているので、ポットの50%のCBが最適なアクションとします。
このアクションが本当に最適かというのは、他のアクションの期待値を計算して検証
しなくてはいけなくて面倒なので省略します。
では、ポットの50%のベットをしたときに、BUの相手が取りうるアクションそれぞれ
の期待値をみてみます。
①コール
SBから3ベットをうたれて、コールして、このフロップがひらき
相手のCBにコールするレンジはこんな感じで設定します。
Axsについては、Jヒット又はフラッシュドローがないハンドはすべてフォールド
88以下のポケットベアはバックドアがなければフォールド
それ以外はコール しています。
そうすると、上記のレンジでコールされるかたちとなります。
このレンジに対するA💛5💛のエクイティをみてみます。
28.8%です。
CBをうつ前のポットは、21bbです。
このポットに対し、50%ポットベットのCBをうちます。
55%のレンジでコールされるので、55%の頻度でCBにコールされます。
そうすると期待値は、 {(21bb+10.5bb+10.5bb)×エクイティの29%- CB分10.5bb}×発生頻度 55%=+1bbになります。
②レイズ
こちらの3ベットにコールしたハンドレンジの中で、CBにレイズすべきハンドは
ほとんどありません。JJのセットはコール止めでもレイズでもどっちでもいいって感じ。
なので、レイズされるハンドは無く、レイズされる可能性は無しとしておきます。
③フォールド
こちらのCBにフォールドする頻度は、残りのレンジ分の45%となります。
21bbのポットを45%の可能性で獲得できるので、期待値は+9.5bb
それでは、①~③の期待値を合算しますと、10.5bbとなります。
J♦2♦3💛のボードでのポストフロップでの期待値は、+10.5bbとなります。
もちろんガットを引いたときのインプラインドオッズ、ターン以降アウトポジで
ドローをプレーしなくてはいけないことによるEVの損失とかの話もありますが、
複雑になるだけなので省略します。
(ケース2)
フロップ
特にこちら側(A💛5💛)には何もない状況です。
相手のレンジに対し、フォールドエクイティは極めて少ないですし、 こちらのハンドにショーダウンバリューが完全にないとも言えないのでチェックします。
チェックした場合、このポットに対してA💛5💛は、19.9%エクイティがあります。
21bb×0.199=4.2bb
このポットに対しての期待値は4.2bbとなりました。
ここで、11,900通りのフロップについて考えてみるのは、面倒だなと思いましたので
ここらで適当にポストフロップの期待値を決めてしまいたいと思います。
フロップを場合分けし、適当にフロップでひらかれる発生頻度を決めてしまいます。
フラッシュドロー(フラッシュ含む) 12%
ガットショット(ストレート完成含む) 10%
ワンペア以上(ツーペア、トリップス、クワッツ含む)35%
それ以外 43%
超適当に各ボートの時のA💛5💛の期待値を決めちゃいます。
フラッシュドロー(フラッシュ含む) 10bb×発生頻度12%=1.2bb
ガットショット 7bb×発生頻度10%=0.7bb
ワンペア以上 13bb×発生頻度35%=4.6bb
それ以外 4bb×発生頻度43%=1.7bb
1.2bb+0.7bb+4.6bb+1.72bb=8.2bb
ポストフロップでは、8.2bbくらいの期待値があるということになりました。
では、A💛5💛がこのレンジの相手に3ベットすることの期待値を計算します。
(8.2bb-9.5bb)×発生頻度26%+3.06bb-0.57bb=2.15bb
死ぬほどざっくりですが、このレンジでプレイするBUのプレーヤーに対しプリフロップでA💛5💛でライト3ベットうつことは、 2.15bbの期待値プラスとなりました。
では、スノーウィー先生はどう考えているでしょうか。
SBでBUのプレーヤーに対して、A💛5💛で10bbの3ベットをうつことは0.32bbの+EVだよ、と言っています。
スノーウィーが考える相手の想定レンジはスノーウィーが考える GTOプレイをするレンジであるため、僕の考えたレンジよりもっと ディフェンスするし、もっとライト4うつし、このくらいの違いは出るかなって感じです('ω')ノ
(まとめ)
ポストフロップでこちらが、CBをうったときにフォールドしてくれる
ときの期待値、CBに万が一コールされてしまった時でも一定のエクイティ(アウツ)
を維持できるハンドであるからAxsはライト3ベットに向いているハンドといえます。
ポストフロップで大きなミスプレイをするような人であれば、プリフロップのシチュエーションがどんなにライト3ベットに適していても、3ベットうつこと自体が-EVになることもありえます。
木原直哉プロがこれらのことについて、ブログで非常に分かりやすく説明していたので抜粋します。
KQoや66、9Tsを3ベットに組み込むのはそれぞれどの程度期待値を失うと見積もっているのか、具体的な数字を評価出来ているのでしょうか。
また、ATsとKQsをレンジから外した場合はどの程度期待値を失うと見積もっているのでしょうか。
自分は、それらの見積もりがある程度の正確さの数字で言うことが出来ないのであれば、数学の公式の丸暗記みたいなもので、本当に価値が低いと思うのです。
一方、それらをしっかり考察出来ているとすると、
「相手のレンジがGTOレンジより3%ほど緩いからKQoとKJsと77も3ベットに組み込もう」
と考えていくのが正しいエクスプロイットだと自分は思うのです。フロップ以降で更にエッジがあると確信出来る場合は、そこからもう少しだけ広げてプレーすることも正当化されます。
AKやAQの3ベットに関しても同じで、このようなハンドで3ベットすることも「ライト」な 3ベットであることを忘れてはいけないと思っています。相手がフォールドしてくれるときの 期待値もあり、最悪コールされたとしても、ポストフロップで期待値を維持できるから、3ベットに適しているといえます。それだけに、こういったハンドではポストフロップでEVロスのないよう慎重にやるべきだと思うんです!!!
以上!!